Story 01おもろいから、キミに決めた!

当時、プロデューサーの齋藤には課題があった。「お客様のことって、どこまで聞いていいんだろう? こちらの気持ちを、どこまで伝えればいいんだろう?」まだまだ経験が浅い自分。最初から親しく質問をしすぎると、失礼に感じるお客様もいる。悩みを抱えながら成績が伸び悩んでいたときに、出会ったのが山口さんだった。「俺、こってこての関西人だから」と、最初のご説明から、ユーモアたっぷりにおしゃべり。齋藤もいつのまにか、親しい人と話すような感覚を覚えていた。その日は「他の式場も見てくるわ」と帰られた山口さん。後日、手を振って齋藤のもとにやってきた。「いろいろ見たけど、齋藤くんに決めるよ!他の式場の人、おもろくないんだもん」と笑いながら。
それまでの齋藤の接客は「聞かなくてもいいことは聞かない」と、どこかビジネスライクだったのかもしれない。でも、山口さんとはいつのまにか力を抜いて、互いに冗談を言い合って会話を楽しんでいた。“お客様”と“式場”の関係を超えたやりとりができていた。お申込書を記した帰り齋藤が「僕のおすすめのラーメン屋さん教えるので、よかったら行ってみてください!」。そういうと山口さんは嬉しそうに手を振った。山口さんの挙式から一年、齋藤は、大阪の店舗から横浜の本社へ異動になった。「俺のこと忘れないように!」と、そのときふたりで撮った記念写真はいつも手帳のポケットに、大切にしまっている。