過去最低水準の出生率 婚姻の減少理由はコロナだけなのか

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出生数、合計特殊出生率の推移
出生数、合計特殊出生率の推移

 2日に公表された2022年の人口動態統計では、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当)が1・26で、前年の1・30から大幅に下落し、05年と並ぶ過去最低の水準となった。出生数も77万747人で初の80万人割れとなった。出生率の低下は、新型コロナウイルスの感染拡大後に婚姻数が減少したことが影響したとみられるが、それだけではなさそうだ。

 全国で10の結婚式場を展開している「ANNIVERSAIRE(アニヴェルセル)」の広報・PR責任者の梁原由寛さん(32)は緊急事態宣言が出された20年度は、挙式や披露宴を開いた組数が例年の半数以下となったと振り返る。1日最大15組受け入れていた人気の式場でも2~3組に落ち込んだ日があったという。

 実際、婚姻数は、コロナ前の19年と今回の22年を比べると約9万4000組減って50万4878組になった。16年と19年の比較では約2万1700組減だったのに比べ、減少ペースが上がっている。厚生労働省の担当者は「日本では婚姻があっての出生が多い。出生率にも影響はあったのではないか」とみる。

 ただ5月8日に新型コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」となり、社会生活への影響は薄らいだ。

 アニヴェルセルでは、現在の組数はコロナ前の8~9割程度と回復傾向にある。梁原さんは「新型コロナが収束していく中で、結婚のお披露目をする人が増えてきた」と話す。

 国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した将来推計人口の最も可能性が高いケース(中位推計)では、20年代は新型コロナウイルス下で婚姻数が減った影響で出生率は1・2台で推移し、30年以降にコロナ前の水準には戻ると想定している。22年の出生率を1・25、出生数を78万7000人としており、今回の実績値に近い。厚労省幹部は「コロナで落ちて、何年かかけて戻っていくということで、推計の通りだ」と受け止めた。

 ただ、今後の出生率…

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