事実婚とは?定義からメリット・デメリット、手続き方法まで解説
事実婚とは、婚姻届を提出せず、戸籍上は独身のまま夫婦として暮らす結婚の形です。夫婦別姓を選びやすいといったメリットがある一方、注意したいデメリットもあります。
この記事では、事実婚の定義やメリット・デメリット、手続き方法まで、わかりやすく解説します。事実婚を検討しているカップルは、ぜひ参考にしてください。
- 目次
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- 事実婚の定義とは?
- 法律婚との違いを比較
- 日本の事実婚の割合はどれくらい?
- 事実婚のメリット5選
- 夫婦別姓のままいられる
- 親戚付き合いのあり方をふたりで決めやすい
- 事実婚を解消しても戸籍に記録されない
- 離婚時など手続きの手間が省ける
- 保険の被扶養者になれる
- 事実婚のデメリット4選
- 遺産の相続権がない
- 子どもの共同親権が認められるには手続きが必要
- 配偶者控除が受けられない
- 夫婦関係の証明に書類が必要
- 事実婚に求められる条件
- 夫婦同然の共同生活をしている
- 周囲に夫婦として認識されている
- 経済的な協力関係がある
- 事実婚の証明に役立つ手続き
- 住民票上の世帯を同じにする
- 遺言書など公正証書を作成する
- パートナーシップ制度を活用する
- 認知や養子縁組で親子関係を示す
- 事実婚に関するQ&A
- 内縁の妻でも遺族年金は受け取れる?
- 事実婚の解消はどうやってする?
- 同性同士でも事実婚はできる?
- 事実婚でも結婚式は挙げられる?
- 事実婚カップルも結婚式で想いを形にできる!
事実婚の定義とは?
事実婚とは、婚姻届を提出せず戸籍上は独身のまま、夫婦同然の共同生活を送る状態のことです。法律婚とは異なり、戸籍や姓の扱いに違いがありますが、条件を満たしてれば一定の範囲で配偶者に近い関係とみなされる場合があります。まずは法律婚との違いや、日本における事実婚の割合を見ていきましょう。
法律婚との違いを比較
法律婚と事実婚の大きな違いは、婚姻届を提出するかどうかです。法律婚は戸籍上も夫婦になりますが、事実婚は戸籍上は独身のままです。そのため、姓や税金、相続、親権などの扱いに違いがあります。主な違いについて、以下にまとめました。
| 項目 | 法律婚 | 事実婚 |
|---|---|---|
| 戸籍 | 同じ戸籍に入る | それぞれ独立した戸籍のまま |
| 姓 | 夫婦のどちらかが改姓する | 夫婦別姓のままでいられる |
| 相続権 | 配偶者として相続権がある | 原則として相続権はない |
| 税金 | 配偶者控除などを受けられる | 配偶者控除などは受けられない |
| 社会保険 | 条件を満たせば扶養に入れる | 条件を満たせば認められる場合がある |
| 子どもの親権 | 共同親権 | 出生時は母親の単独親権(その後の協議で共同親権も可能) |
| 関係の解消 | 離婚届が必要 | 離婚届の提出は不要 |
日本の事実婚の割合はどれくらい?
日本では、法律婚を選ぶ夫婦がまだ多数派です。ただし、夫婦別姓や自分らしい結婚の形を大切にしたいという理由から、事実婚を選ぶカップルも少しずつ見られるようになっています。
2025年の調査(※)によると、全国20〜59歳の男女1万名のうち、事実婚の割合は2.0%でした。人口推計に当てはめると、約122.6万人が事実婚状態にあると推定されています。割合だけを見ると多いとはいえませんが、事実婚は日本でも現実的な選択肢のひとつになりつつあります。法律婚との違いや制度上の注意点を理解したうえで、ふたりに合う形を考えることが大切です。
出典:(※)一般社団法人あすには「選択的夫婦別姓、事実婚当事者の意識調査」
事実婚のメリット5選
事実婚には、法律婚とは違う自由度の高さがあります。婚姻届を提出しないからこそ、姓や親族との関わり方、関係を見直すときの手続きなどを、ふたりの価値観に合わせて選びやすい点が特徴です。ここからは、事実婚の主なメリットを5つ見ていきましょう。
夫婦別姓のままいられる
事実婚の大きなメリットは、夫婦別姓のままでいられることです。法律婚では、夫婦のどちらかが姓を変える必要があります。一方、事実婚では婚姻届を提出しないため、改姓の必要がありません。
そのため、銀行口座や運転免許証、パスポート、クレジットカードなどの名義変更をせずに済みます。仕事で旧姓を使い続けたい方や、自分の姓で築いてきたキャリア、信用、人間関係を大切にしたい方にとっては安心できる形です。
また、夫婦別姓を維持することで、結婚後もそれぞれが個人として尊重されやすくなります。どちらか一方が相手の姓に合わせるのではなく、対等な関係を重視したいカップルにも、事実婚は選びやすい制度といえるでしょう。
親戚付き合いのあり方をふたりで決めやすい
結婚後の悩みとしてよく挙げられる親戚付き合い。家や親族のしきたりや家族行事への参加頻度、帰省のタイミングなどにおいて、「嫁」や「婿」としての役割を求められることに違和感を感じる方もいるかもしれません。
事実婚では、戸籍上は相手の親族と姻族関係になりません。法律婚のように相手の家に入るという意識が生まれにくいため、親戚付き合いに縛られにくくなるでしょう。もちろん、事実婚でも相手の家族を大切にする姿勢は必要です。そのうえで、無理のない関係をふたりで話し合えるため、対等な夫婦関係を築きやすくなります。
事実婚を解消しても戸籍に記録されない
事実婚は、法的な婚姻手続きをしていない関係です。そのため、仮に関係を解消しても、離婚届を提出する必要はありません。法律婚のように戸籍に離婚の記録が残らず、いわゆる「バツ」がつかない点はメリットといえるでしょう。
ただし、戸籍に記録されないからといって、責任が生じないわけではありません。夫婦同然の生活実態があった場合、財産分与や慰謝料などが発生する場合も。解消時のトラブルを防ぐためにも、日頃からお金や住まいについて話し合っておくことをおすすめします。
離婚時など手続きの手間が省ける
法律婚では離婚をする際に、離婚届の作成や提出、戸籍の変更、姓を戻す手続きなどが必要です。事実婚であれば、改姓していないためこうした煩雑な手続きの手間や負担も基本的にありません。生活面での手続きが少ないため、関係を見直すときの心理的な負担も軽くなりやすいでしょう。
とはいえ、ふたりで築いた財産や住まい、子どもに関する取り決めがある場合は、話し合いが必要です。必要に応じて契約書を作成しておくと、解消時のトラブルを防ぎやすくなります。
保険の被扶養者になれる
事実婚でも、生計を維持している関係が認められれば、健康保険や厚生年金の被扶養者になることができます。たとえば、どちらか一方の収入で主に生活している場合や、同じ世帯で家計を支え合っている場合などです。
ただし、法律婚とは違い、事実婚の場合は後述する関係を証明する書類を求められることがあります。また、加入している健康保険組合や勤務先によって必要な手続きや判断基準は異なるため、扶養に入りたい場合は早めに勤務先へ確認しておくと安心です。
事実婚のデメリット4選
事実婚には自由度の高さがある一方で、法律婚と同じ権利がすべて認められるわけではありません。安心して暮らすためにも、事実婚のデメリットも事前に理解しておきましょう。
遺産の相続権がない
事実婚では、パートナーに法定相続権はありません。長く一緒に暮らしていても、法律上の配偶者として遺産を相続することはできない点に注意が必要です。パートナーに財産を残したい場合は、遺言書を作成して遺贈する意思を明確にしておく必要があります。より確実に備えたい場合は、公正証書遺言を検討するとよいでしょう。
ただし、遺言書があっても、法律婚の配偶者向けに設けられた相続税の軽減特例は利用できません。相続はトラブルになりやすいため、早めに専門家へ相談しておきましょう。
子どもの共同親権が認められるには手続きが必要
事実婚の夫婦に子どもが生まれた場合、法律婚とは親権の扱いが異なります。婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもは、原則として母親の単独親権です。父親との親子関係を明確にするには、まず認知の手続きが必要になります。
2026年4月1日施行の民法改正により、認知後に父母が話し合いで合意し、家庭裁判所への申し立てなどを行えば、事実婚でも共同親権を選べるようになりました。ただし、父母の意見が一致しない場合や子どもの利益を害すると判断される場合は、共同親権が認められないこともあるため、あくまでケースバイケースです。家庭裁判所が事情を見て判断するため、事実婚で子どもを育てる場合は留意しましょう。
配偶者控除が受けられない
配偶者控除とは、一定の条件を満たす配偶者がいる場合に、所得から一定額を差し引ける制度です。配偶者控除は、婚姻届を提出して法律上の夫婦になっている配偶者が対象となります。そのため、内縁の妻や夫など、事実婚の相手は配偶者控除の対象にはなりません。
また、配偶者特別控除についても、事実婚のパートナーは対象外です。社会保険の扶養に入れる場合があっても、税金の制度では法律婚と同じ扱いにならない点に注意しましょう。収入や働き方を考える際は、税金面の違いも確認しておくことが大切です。
夫婦関係の証明に書類が必要
事実婚は、婚姻届を提出しないため、戸籍上は夫婦として記録されません。そのため、職場や医療機関、不動産契約などの場面で、おふたりの関係性について説明や証明を求められる場合があります。
住民票の続柄を変更する、公正証書を作成しておくなど、事前に準備していれば証明自体は比較的スムーズに進めやすいでしょう。一方で、法律婚のように戸籍だけで夫婦関係を示せるわけではないため、必要な書類を揃える手間があります。手続きのたびに慌てないためにも、事実婚を選ぶ場合は、関係性を証明できる書類をあらかじめ揃えておくと安心です。
事実婚に求められる条件
事実婚は法的な証明書がないため、ふたりの関係が夫婦同然であることは結婚の意思や生活実態から判断されます。将来の手続きやトラブルを避けるためにも、事実婚と判断されやすいポイントをあらかじめ知っておきましょう。
夫婦同然の共同生活をしている
共同生活をしているかどうかが、事実婚の証明に役立つことがあります。たとえば、同じ家で暮らし、食事や家事を分担しながら日常生活を共にしていれば、夫婦同然と認められやすいでしょう。単にパートナーの家へ頻繁に泊まっているだけでは、事実婚と判断されにくい場合があります。
また、同居期間の長さも判断材料のひとつです。明確に「何年から事実婚」と決まっているわけではありませんが、2〜3年以上同居をしていると、夫婦としての生活実態を示しやすい傾向があります。
周囲に夫婦として認識されている
家族や友人、職場の人に結婚相手として紹介しているというように、周囲に夫婦として認識されると結婚の意思があることを示しやすくなります。また、結婚式を挙げることも、夫婦としての関係を周囲に伝える行動のひとつです。ゲストの前で誓いを交わしたり、ふたりの新しい生活を報告したりすることで、社会的に夫婦として認識されやすくなるでしょう。
事実婚は戸籍に記録が残らない分、周囲からどう見られているかが重要です。普段から夫婦として行動していることが、関係性の証明につながります。
経済的な協力関係がある
経済的な協力関係があることも、事実婚として認められやすくなるポイントです。たとえば、生活費を分担したり、家賃や光熱費を一緒に支払ったりしている場合は、ふたりで生活を支え合っていることを示す手段となります。
また、家計を共同で管理していることも、夫婦同然の関係を表す材料です。共通の口座を作って生活費を出し合う、毎月の支出をふたりで確認するなど、経済面でも協力し合っている実態があるとよいでしょう。日頃から支払いの記録や契約書などを残しておくと、事実婚の証明が必要な場面で役立ちます。
事実婚の証明に役立つ手続き
事実婚は、戸籍で夫婦関係を証明することができません。必要な場面で関係性を説明するには、準備が必要です。おふたりの関係を守り、安心して暮らしていくためにも、事実婚を示す手続き方法について確認しておきましょう。
住民票上の世帯を同じにする
事実婚の証明に役立つ手続きのひとつが、住民票上の世帯を同じにすることです。市区町村役場で世帯変更届を提出し、同じ世帯として登録することで、ふたりが一緒に生活していることを示しやすくなります。
その際、住民票の続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」と記載できる場合があります。未届とは、婚姻届は提出していないものの、夫婦に近い関係であることを表す言葉です。住民票は、健康保険の扶養手続きや賃貸契約、勤務先への申請などで、事実婚の関係を説明する書類として活用できることがあるため、優先度の高い手続きといえるでしょう。
遺言書など公正証書を作成する
事実婚では、夫婦としての約束事を公正証書にしておく方法もあります。公正証書とは、公証役場で作成してもらう、信頼性の高い公的な書類のことです。生活費の分担や財産の扱い、関係を解消するときの取り決めなどを残しておくと、トラブル防止に役立つでしょう。
また、事実婚のパートナーには原則として相続権がないため、財産を残したい場合は遺言書を作成しておく必要があります。公正証書遺言にすれば、公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配も減らせるでしょう。
公正証書は、必要なときに証明書類として活用できる点もメリットです。おふたりの意思を明確にするためにも、早めに準備しておくと安心です。
パートナーシップ制度を活用する
自治体のパートナーシップ制度を活用するのもひとつの方法です。パートナーシップ制度とは、自治体がおふたりの関係を証明する制度を指します。法律婚と同じ効力があるわけではありませんが、関係性を説明する資料として役立つかもしれません。
手続き方法は自治体によって異なりますが、一般的には必要書類を用意し、窓口やオンラインで申請します。その後、自治体が要件を確認し、証明書や受領証を交付する流れです。制度の対象者や必要書類、利用できるサービスは自治体ごとに異なるため、事実婚のカップルが利用できるかどうかも含め、住んでいる自治体の公式情報をチェックしておきましょう。
認知や養子縁組で親子関係を示す
事実婚の夫婦に子どもがいる場合は、親子関係を示すために認知の手続きが必要です。手続きをすると、父親が子どもを自分の子どもとして認めることを証明できます。認知により父親との親子関係が明確になり、おふたりが家族として生活している実態も示しやすくなるでしょう。
また、どちらかに連れ子がいる場合は、養子縁組を検討する方法もあります。養子縁組をすると、血のつながりがなくても法律上の親子関係が生じます。子どもの将来や手続きで困らないよう、早めに確認しておくのがおすすめです。
事実婚に関するQ&A
事実婚は法律婚とは異なる選択だからこそ、実際の生活で迷う場面があります。制度によって扱いが変わることもあるため、事前に疑問を整理しておくことが大切です。 ここでは、事実婚を検討する方が知っておきたいポイントを、Q&A形式でわかりやすく解説します。
内縁の妻でも遺族年金は受け取れる?
内縁の妻や夫でも、条件を満たせば遺族年金を受け取れる場合があります。
遺族年金は、亡くなった被保険者に生計を維持されている遺族が対象です。事実婚の場合も、夫婦としての生活実態や生計同一関係が認められれば、内縁の配偶者として扱われる可能性があります。ただし、戸籍上の配偶者ではないため、受け取れるかどうかも含め早めに年金事務所へ相談しておきましょう。
事実婚の解消はどうやってする?
事実婚は、離婚届を出さずにふたりの合意で解消できます。
事実婚は法律婚のように、離婚届を市区町村役場へ提出する必要はありません。おふたりが関係を終えることに合意すれば、基本的には事実婚を解消できます。
ただし、住民票の続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」にしている場合は、世帯分離や転居などの手続きが必要になることもあります。加えて、夫婦同然の生活実態があった場合、財産分与や慰謝料が認められる可能性がある点にも注意が必要です。
子どもがいる場合は、親権や養育費についても話し合っておきましょう。トラブルを避けるためにも、解消時の取り決めは書面に残しておくと安心です。
同性同士でも事実婚はできる?
同性同士でも、事実婚に準じた関係として扱われるケースが広がっています。
日本では、現時点で同性同士の法律婚は認められていません。ただし近年は、同性カップルの関係を「内縁に準じた関係」として法的保護の対象にする判例が見られるようになりました。
自治体でも、パートナーシップ制度の整備が進んでいます。とはいえ、法律婚と同じ権利が生じるわけではないため、利用できる制度については自治体ごとに確認が必要です。
事実婚でも結婚式は挙げられる?
事実婚でも、結婚式を挙げることができます。
結婚式は、婚姻届の提出だけで成立するものではありません。おふたりが夫婦として歩んでいく想いを、大切な人たちに伝える場でもあります。そのため、事実婚を選んだカップルでも、法律上の手続きにかかわらず結婚式を挙げることが可能です。
会場によっては、キリスト教式や人前式、神前式などに対応できる場合もあります。特に人前式は、ゲストに結婚を誓うスタイルのため、事実婚の考え方とも相性がよいでしょう。
結婚式に関して、費用面が気になる方は以下の記事も併せてチェックしてみてください。
事実婚カップルも結婚式で想いを形にできる!
事実婚とは、婚姻届を提出せずに夫婦として生活する結婚の形です。夫婦別姓を選べる、戸籍に記録が残らないなどのメリットがある一方で、相続権や配偶者控除、親権などでは法律婚と違いがあります。安心して暮らすためには、おふたりの関係を証明できるようにしておくことが必要です。
また、事実婚であっても結婚式を挙げることはできます。大事なのは、法律上の形式だけではなく、おふたりがどのように人生を歩みたいかという想いです。おふたりらしい誓いの形を、結婚式で大切な人たちに伝えてみてはいかがでしょうか。
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\ふたりらしい結婚式をするなら/
- この記事を書いた人
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ライターくま なかこ
編プロ出身のフリーランスエディター。月間120本以上、編集・執筆・校閲担当として、ライフスタイル・金融・ブライダル・エンタメメディアのコンテンツ制作に携わっています。