【例文紹介】新郎新婦の父による結婚式の挨拶(謝辞)

【例文紹介】新郎新婦の父による結婚式の挨拶(謝辞)

披露宴の終わりには、お祝いと感謝の気持ちを述べる親御様からの挨拶(謝辞)があります。この大役を担うのは、両家どちらかの親御様。多くの場合、新郎のお父様が述べます。

しかし、結婚式で親として挨拶を頼まれたものの、「どのようなスピーチをすればよいか分からない」「参考例文を知りたい」というお父様もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、親御様による結婚式の挨拶(祝辞)について、一般的な構成や文例を紹介します。緊張して頭の中が真っ白にならないよう、しっかりと確認して臨んでくださいね。

目次

新郎新婦の父による挨拶「謝辞」とは?

新郎新婦のお父様による結婚式の挨拶(謝辞)とは、両家を代表し、祝福や感謝の気持ちを述べ披露宴を締めくくるものです。両家を代表して行うため、「両家代表謝辞」とも呼ばれています。

一昔前の結婚式は、新郎新婦本人ではなく、親御様が「私たちの子どもの結婚を披露する場」として開いていました。その名残により、現在の結婚式では披露宴の終盤で両家を代表し、いずれかの親が謝辞を述べることが一般的になっています。

多くの場合、親御様の挨拶は新郎側のお父様が行いますが、新婦のお父様やいずれかのお母様が務めても構いません。最近の結婚式は新郎新婦が開くことが一般的であり、新郎だけが謝辞をすることもあります。

スピーチの構成と文例

ここでは、挨拶文の基本の構成と例文を紹介します。構成は、自然な流れを意識することが大切。構成がしっかりしていれば、本文を書くときの筆も進み、メッセージ性の高い挨拶になるでしょう。

基本の構成パーツは4つです。順を追って説明します。

1 自己紹介

まずは、自分が何者なのか知ってもらうために、簡単に自己紹介します。新郎新婦との関係と名前を伝えましょう。父母以外の親族の場合は、「叔母」「祖父」など、新郎新婦側からみたときの呼び名にします。

【文例1】

ただいまご紹介に預かりました、新郎の父の○○○○でございます。僭越ではございますが、両家を代表いたしまして、ご挨拶申し上げます。

【文例2】

新郎の父、○○○○と申します。僭越ではございますが、○○家と△△家を代表いたしまして、私から一言ご挨拶をさせていただきます。

2 列席者へのお礼

次に、新郎新婦のために集まってくれたゲストにお礼の気持ちを伝えます。

【文例1】

本日はご多用のところ、ふたりのためにご臨席を賜り、深く御礼申し上げます。先ほどより、たくさんの方々からふたりに対し、温かい励ましのお言葉をいただきまして、感謝の気持ちでいっぱいでございます。

【文例2(配偶者と死別している場合)】

本日はお忙しい中、ご出席賜り誠にありがとうございます。このように多くの方々にお運びいただき、心から感謝申し上げます。もし妻(夫)が存命でしたら、皆様にお祝いいただいたことに、厚くお礼申し上げることでしょう。

あいにく天気が悪かったり、寒さが厳しかったりする場合は、文頭に「お足元が悪い中…」「お寒い中…」など、配慮した言葉を入れると良いでしょう。

3 新郎新婦へのはなむけ

ゲストに感謝の気持ちを伝えたら、次は昔のエピソードなどを交えて、新郎新婦への想いを語りましょう。このとき、結婚相手について触れることがポイントです。

【文例1】

○○(新郎の名前)は一人っ子ですが、たくさんの友人たちに恵まれ、サッカー仲間とともに、元気な子ども時代を過ごすことができました。そんな○○が、△△さん(新婦の名前)という、優しい女性と出会い、今日という日を迎えたことを、とても嬉しく存じます。

【文例2】

○○(新郎の名前)は、小さなころから大人しい子どもでした。いつも、姉の後ろをついて歩く引っ込み思案な性格でしたが、こうして一人前になり、△△さん(ご新婦の名前)という、優しくて思いやりのある女性と出会うことができました。これも一重に、これまで○○(新郎の名前)を支えていただいた皆様のお力があったからこそでございます。

4 締めの言葉

最後におもてなしの不足を詫び、改めてお礼の言葉で締めくくります。

【文例1】

本日は不慣れな宴席で、至らぬこともあったかと思いますが、何卒お許しいただきますようお願い申し上げます。最後になりましたが、本日ご列席くださいました皆様方のご健勝とご多幸をお祈り申し上げまして、両家の代表挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

【文例2】

本日は不慣れな宴席で、行き届かぬ点も多々あったかと思いますが、何卒、お許しくださいませ。ご列席の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、両家を代表し、これにてお礼の言葉とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

【全文例】披露宴での親の謝辞

ここでは、構成4つのパーツをすべてあわせた文例を紹介します。

  • 新郎父の謝辞・簡単バージョン
  • 新郎父の謝辞
  • 新婦父の謝辞

以上3つのケースに分けて紹介しますので、自分にあった文例を参考に作成してみてください。

新郎父の謝辞・簡単バージョン

ただいまご紹介にあずかりました、新郎の父○○でございます。僭越ながら、両家を代表いたしまして、御礼のご挨拶を申し上げます。

本日は、ご多用中にもかかわらず、○○家・△△家の結婚披露宴にご列席いただきまして、誠にありがとうございます。

そのうえ、数々の温かい励ましのお言葉をいただき、新郎新婦をはじめ、両家親族一同、感謝の気持ちで一杯でございます。

本日、○○(新郎の名前)と△△さん(新婦の名前)は晴れて夫婦となりましたが、この先、さまざまな困難に直面することもあるでしょう。

ご列席の皆様におかれましては、今後ともどうか末永くふたりを見守り、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、お力添えをいただきたく存じます。

本日は不慣れな宴席で至らぬ点もございましたが、何卒ご容赦ください。

皆様のますますのご健勝・ご多幸を切にお祈り申し上げまして、両家代表のご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

新郎父の謝辞

ただいまご紹介に預かりました、新郎の父の○○○○と申します。

本日は寒さの厳しい中、皆様方にはご多用中にもかかわらず、新郎新婦のためにお集まりいただきまして、心よりお礼申し上げます。

○○(新郎の名前)は、子どものときから家族想いで、家事の手伝いをしてくれたり、きょうだいの面倒を見てくれたりと、とても頼りになる存在でした。私が仕事で忙しく、きょうだいの運動会に行けなかったときも、父親の代わりになって、ビデオを回したり親子競技に参加してくれました。

社会人になり、△△さん(新婦の名前)という素敵な方と新しい人生をスタートする運びとなって、少し寂しさを感じていますが、親としてこれほど幸せなことはありません。○○が△△さんを紹介してくれたとき、どこか息子に似たような、△△さんのにこやかな笑顔と優しい話し方に、とても安心しました。

家では照れくさいのか、あまり自分から話さないので、このように皆様に祝福されているのを間近でみることができ、驚きと嬉しさが募るばかりです。

思いやりにあふれた△△さんとなら、笑顔が絶えない、温かい家庭を築いてくれることと思います。

しかし何分、まだ未熟な二人ですから、夫婦として一人前になる道のりは、平坦ではないかもしれません。

誠に勝手なお願いではございますが、これからも、皆様のご指導とご鞭撻を賜りたく思っております。

本日は不慣れな宴席で、行き届かぬ点も多々あったかと思いますが、何卒、お許し願います。

結びになりますが、ふたりのためにお集まりいただきました、皆様のご多幸とご繁栄をお祈り申し上げ、両家の挨拶とさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました。

新婦父の謝辞

ただいまご紹介に預かりました新婦の父、○○○○でございます。僭越ながら親族一同に変わりまして、ご挨拶を申し上げます。

本日はお足元が悪い中、またご多用中のところ、新郎新婦のためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。たくさんの方々からお祝いのお言葉や励ましのお言葉をいただき、心より感謝申し上げます。

△△(新婦の名前)は、子どもの頃から芯が強く、我慢強い子どもでした。高校時代はダンス部に入り、毎日練習に励んでおりました。高校3年生のときは部長になり、大会では見事に優勝して、私たちも手を取り合って喜んだことを覚えています。

社会人になってからは仕事にまい進し、辛いときも決して弱音を吐かず、毎日頑張っていました。プロジェクトのリーダーを任されたときは、慣れないことばかりで「大丈夫かな…」と心配することもありましたが、持ち前の根性と明るさで、乗り越えてきました。

そんな△△を支えてくださったのは、ここにもおいでくださっている職場の皆様 です。その中の一人として、めでたく結ばれたのが、○○(新郎の名前)です。

思いやりにあふれた優しい○○さんはいつも△△のことを気にかけ、労わってくれました。△△にとって、かけがえのない存在であったことでしょう。優しい○○さんが△△とともに道を歩んでいくことを決めてくださったことに、深く感謝しています。

これからもしっかりと手をつないで歩み、幸せな家庭を築いてほしいと願っています。

しかし、若い二人がこれから二人三脚で人生を歩んでいく中で、きっとさまざまな困難にぶつかることでしょう。そんなときは、ぜひとも皆様の変わらぬお力添えを頂戴したく存じます。

本日は不慣れな宴席ゆえ、行き届かぬ点が多々あったかと存じますが、何卒お許しくださいませ。

ご列席の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げまして、お礼の言葉とさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました。

結婚式のスピーチで避けたい話題

親からの挨拶文では、使ってはいけない言葉や触れない方がいい話題があります。

知らずに使ってしまうと、相手や相手の家族を傷つけてしまいかねません。文を書き終えたら入念にチェックすることを忘れないようにしましょう。

忌み言葉(いみことば)

忌み言葉とは、縁起が悪いとされる言葉や漢字のことです。おめでたい結婚式では、別れや不幸を連想させる忌み言葉を使うのはNG。

また、同じ言葉を繰り返す「重ね言葉」も再婚を連想させるため、結婚式ではタブーです。

それぞれの具体的な言葉は以下のとおりです。

【忌み言葉】

悪い・亡くなる・苦しい・悲しい・負ける・破れる・散る・滅びる・倒れる・落ちる・捨てる・別れる・離れる・去る・失う・終わる・逃げる・切る など

【重ね言葉】

たびたび・しばしば・くれぐれも・かえすがえす・たまたま・わざわざ・ますます・みるみる など

年齢について

「もう○○歳になって、いつ結婚するのかと思っていた」「いつになったら嫁に行ってくれるのかと気を揉んでいた」など、年齢に関する話題については触れないほうが無難です。

親心でつい言いたくなるかもしれませんが、言われた方も聞く方もいい気分にはならないでしょう。

性別に関する偏見

「女性は家を守って、男が稼ぐ」というような、男女を偏見する発言には特に気をつけましょう。

「これからは、△△さん(新婦の名前)が家庭に入って、○○(新郎の名前)を支えてくれる」という言い方ではなく、「これからは、ふたりで支えあって温かい家庭を築いていくでしょう」という言い方にすれば、誤解を生まないでしょう。

出産や子供について

出産や子どもについての発言にも注意が必要です。

「孫の顔を見るのが楽しみ」など、「結婚したら子どもを産むのが当たり前」というような発言をすると、余計なプレッシャーを与えてしまいます。

夫婦や家族の形はそれぞれなので、自分の価値観を押し付けないようにしましょう。

結婚式のスピーチでの注意点

最後に、挨拶を読み上げるときの注意点について紹介します。

せっかく良い挨拶文が書けたのに、話す時間や話し方が適切でないと、気持ちも伝わりません。事前にしっかり確認して、スピーチの完成度を高めましょう。

新郎の謝辞とバッティングしないか確認する

新郎の謝辞と親御様挨拶で話す内容が、バッティングしないように、事前に内容の擦りあわせをしておきましょう。

感謝の気持ちを伝える点は共通していますが、親御様は「ふたりの今後を託す」という内容を盛り込むのに対し、新郎は「自らの抱負」を述べます。内容や言い回しがかぶらないよう気を付けましょう。

長すぎず短すぎず

結婚式の謝辞は、できるだけ簡潔にまとめることが大切です。ダラダラと長く述べると、ゲストも飽き飽きしてしまいます。

目安は2分前後、原稿用紙3~4枚くらいがベスト。

挨拶文が完成したら何度か声に出して読み、読みやすさや読むのにかかる時間を確認しておきましょう。

ゆっくり、はっきり話す

人前で話すことに慣れていないと、緊張のあまり言葉が詰まり「え~」「あ~」を連発することが。声が小さくなったり、どもったりすることもあり、これでは気持ちがきちんと伝わりません。

話すときは目線を上げ、ゆっくりはっきり話すことを心掛けましょう。事前に何回かリハーサルをし、心の準備をしておくと安心です。

結婚式の挨拶には父の想いを込めて

披露宴のクライマックスともいえる親御様の祝辞(挨拶)。お祝いの気持ちや感謝の気持ちを伝える大切な場面です。

挨拶文は基本の構成を軸に、子ども時代のエピソードなどを加えると良いでしょう。想いを手紙にしたためるように書くと、より気持ちが伝わりますよ。話すときは、時間や話し方にも注意を。

事前にしっかりと準備をして、想い出に残る素敵なスピーチにしてくださいね。

この記事を書いた人
ライター 瀬上友里恵

ライター 瀬上友里恵

地方在住のフリーライター。詩人として創作活動も嗜む。2児の母として子育て奮闘中。

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